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パソコンが起動しない。データは取り出せるのか

分かれ目は2つだけです。「全部消えた」と思って持ってこられたものが、あっさり取り出せることがあります。逆に、触りすぎたせいで難しくなることもあります。何で決まるのかを、順番に書きます。

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最初に結論

分かれ目は「何が壊れたか」と「そのあと何をしたか」の2つです

同じ「パソコンが起動しない」でも、結果はまったく違います。決めているのは、Windowsが壊れているのか、記録している媒体そのものが壊れているのか。そして故障してから、何をしたか。この2つです。

もうひとつ、最近増えている壁があります。SSDが無事でも、暗号化されていて開けないという場合です。これは下の3番で書きます。

1

何が壊れたのかを分ける

中のSSDやHDDが無事なら、Windowsが起動しなくてもデータは残っています。パソコンから取り外して別の環境から読めば、写真もExcelもWordも、そのまま出てくることが珍しくありません。

逆に、媒体そのものが壊れている場合は話が変わります。画面に出るものと音で、ある程度は見分けがつきます。

起きていること壊れている可能性が高いのは見込み
Windowsのロゴで止まる、青い画面が出るWindows側取り出せることが多い
「Operating System not found」など、そもそも見つからないと出る媒体側難しくなる
HDDからカチカチ、カリカリと異音がする媒体側(物理故障)通電を止める
認識したり、しなかったりを繰り返す媒体側通電を止める

上の2行と下の2行では、やることが正反対です。上なら落ち着いて進めていい。下は、まず手を止めてください。

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異音がしたら、そこで止める

HDDから聞こえるカチカチという音は、内部で読み取り部分が正常に動けていないサインです。この状態で電源を入れ直すたびに、状況は悪くなりえます。

音が出ている段階で、うちの店でできる作業には限りがあります。本当に必要なデータであれば、無理に通電せず、専門のデータ復旧業者に出すという判断になります。費用は高くつきますが、失ってから相談しても戻せません。

「あと1回だけ」で終わることは、まずありません。

もう一度電源を入れれば起動するのではないか、と思う気持ちは分かります。ただ、異音が出ているときのその1回が、取り出せたはずのものを取り出せなくすることがあります。

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SSDは無事なのに、開けないことがある

ここ数年で増えているのが、BitLockerという暗号化です。SSDそのものは壊れていない。取り外して別のパソコンにつなぐこともできる。それなのに、中身が暗号化されていて読めません。

やっかいなのは、自分で設定した覚えがない方がほとんどだということです。最近のパソコンは、初期設定でMicrosoftアカウントにサインインすると自動で有効になることがあります。「BitLockerという言葉を初めて聞いた」という方が珍しくありません。

開けるかどうかは、回復キーが見つかるかどうかで決まります。回復キーはMicrosoftアカウントに保存されていることが多いので、まずそこを確認します。

  1. 別のスマートフォンやパソコンから account.microsoft.com/devices/recoverykey を開く
  2. そのパソコンで使っていた Microsoft アカウントでサインインする
  3. 表示された回復キーを控える

職場から支給されたパソコンの場合は、会社の管理者側にキーがあることもあります。

回復キーがどうしても見つからないと、データは戻りません。

SSDは壊れていない。データもそこにある。それでも開けない、ということが起こります。復旧業者に出しても同じです。暗号を破る道具はありません。

いま動いているうちに、回復キーを確認して控えておいてください。紙に書いて、パソコンとは別の場所に置く。これだけで、この事態は防げます。壊れてからでは確認できません。

4

触るほど難しくなる

故障そのものより、故障したあとの操作で復旧が難しくなることがあります。よくあるのは次の3つです。

  1. 何度も電源を入れ直す
  2. とりあえず初期化してしまう
  3. よく分からないまま、復旧ソフトを何種類も実行する

3つ目は特に多いです。復旧ソフトは、消えたデータの痕跡を探して書き戻す仕組みなので、動かすたびに同じ媒体へ書き込みが発生します。探しているデータの上に、別のものを載せてしまうことがあります。

大切なデータが入っているなら、いちばん確実な行動は何もしないで持っていくことです。何もしていない状態がいちばん取り出しやすい、というのは、感覚に反しますが本当です。

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取り出せることのほうが多い

ここまで注意ばかり書きましたが、実際には「全部消えた」と思って持ってこられたものが、あっさり出てくることのほうが多いです。

典型は、Windowsが壊れて起動できなくなっただけで、SSDそのものは正常だったケースです。SSDを取り外して別の環境から確認すると、写真、Excel、Word、会計のデータなどがそのまま残っています。

だから、画面が真っ暗でも、エラーが出ていても、その時点で諦める必要はありません。諦めるべきかどうかを決めるのは、中を見てからです。

6

取り出せたあとにやること

取り出せたら、まずいま必要なデータを外付けの媒体へ移します。パソコンを直すのは、そのあとで構いません。順番を逆にすると、直す作業の途中でデータを失うことがあります。

そして、戻したデータを1か所だけに置かないでください。外付けドライブ1台に集めた状態は、そのドライブが壊れれば同じことが起きます。外付けとクラウド、外付け2台、どちらでも構いません。置き場所を2つにするだけで、次に同じ相談をする可能性がかなり下がります。

バックアップは、壊れる前にしか取れません。

当たり前のことですが、起動しなくなってから「バックアップを取っておけば」と言われることが、いちばん多いです。今このページを読んでいて、まだパソコンが動いているなら、読み終わったあとに写真と書類だけでもコピーしておいてください。それだけで、次に起きることの深刻さが変わります。

CASES

「もっと早く持ってきてもらえれば」と思う場面

データの相談で、いちばんそう思うのはこの3つです。

  • HDDから異音がしているのに、何週間も使い続けた
  • 水をこぼしたあと、何度も電源を入れた
  • 調子の悪いSSDに、復旧ソフトを何度もかけた

どれも、最初の段階で見せていただけていれば取り出せた可能性が高いものです。異常を感じたときに、無理に自分で直そうとしないことが、結果的にいちばん近道になります。

いっぽうで、そんなに慌てなくていいものもあります。Windows Updateの最中に電源を切りたくなった、ファンが急に高速で回りだした、画面が一時的に真っ黒になった——これらは、故障とは限りません。Updateの最中は普段より時間がかかり、CPUの使用率が上がってファンも回ります。

大事なのは、一時的な正常動作なのか、故障の前触れなのかを見分けることです。判断がつかないときは、症状を電話で伝えるだけでも分かることがあります。

よくある質問

Q. BitLocker の回復キーは、今どこで確認できますか。

パソコンが動いているうちなら、スマートフォンなどから account.microsoft.com/devices/recoverykey を開き、そのパソコンで使っている Microsoft アカウントでサインインすると表示されます。控えて、パソコンとは別の場所に保管してください。会社から支給されたパソコンは、管理者側にキーがあることがあります。

Q. 電源が入らないのですが、データは諦めるしかないですか。

いいえ。電源が入らない原因は、電源まわりの部品やバッテリー、基板側であることも多く、その場合、記録している媒体は無事です。取り外して別の環境から読めば、データが残っていることがあります。

Q. 自分でSSDを取り外して読んでも大丈夫ですか。

媒体が正常なら、それで取り出せます。ただし、異音がする、認識したりしなかったりする場合は、接続を繰り返すこと自体が負担になります。その状態なら自分でやらないほうが安全です。

Q. 復旧ソフトを使ってはいけないのですか。

使ってよい場面もあります。ただし「起動しない原因が分からない段階で、何種類も試す」のは避けてください。書き込みが発生し、状況が悪くなることがあります。

Q. 初期化すれば直りますか。

Windowsは直りますが、データは消えます。「初期化」は、データを諦める操作だと考えてください。取り出したいものがあるうちは選ばない選択肢です。

Q. データ復旧業者に出すと、いくらかかりますか。

症状と媒体の状態で大きく変わるため、一律には言えません。物理故障の場合は数万円以上になることが多く、見積りを取ってから決める形になります。金額を聞いてから判断して構いません。

まとめ

Windowsが壊れただけなら、データはたいてい残っています。媒体そのものが壊れている、特に異音がしている場合は、そこで手を止める。そして、どちらであっても触るほど難しくなる。この3つだけ覚えておけば、取り返しのつかないことにはなりません。

そしてもう一点。いま動いているうちに、BitLockerの回復キーを確認して控えておいてください。これを持っていないと、SSDが無事でも開けません。

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